鵞足炎(がそくえん)は、膝の内側にある「鵞足(がそく)」という腱(けん)部分に炎症が生じる状態です。鵞足とは、縫工筋(ほうこうきん)、薄筋(はくきん)、半腱様筋(はんけんようきん)という3つの筋肉が膝の内側で合わさって腱を形成し、形がガチョウの足のように見えることからその名前が付けられています。

鵞足炎の主な原因

鵞足炎は、以下のような理由で発生することがあります。

  1. 過度の使用:ランニングやジャンプなどの繰り返し運動によって膝に負担がかかると炎症が生じる。
  2. 膝の外傷:転倒や衝突などの直接的な外傷。
  3. 筋力バランスの乱れ:大腿四頭筋やハムストリングスなどの筋肉のアンバランスが膝に過度なストレスを与える。
  4. 関節疾患:変形性膝関節症などが鵞足炎のリスクを高める。

鵞足炎の症状

  • 膝の内側に痛みがあり、特に運動や階段の上り下りで痛みが増す。
  • 膝の内側が腫れたり、圧痛がある。
  • 運動後や長時間歩いた後に痛みが強まる。

鵞足炎の治療法

治療は痛みの緩和と、原因となる膝の負担を減らすことが主な目標です。

  1. 安静:まずは膝を安静に保つことが大切です。運動を控え、膝への負担を軽減します。
  2. アイシング:炎症を抑えるために、膝の内側に氷を当てることが効果的です。1回20分程度、1日に数回行います。
  3. 痛み止めの薬:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などを使用して、痛みや炎症を軽減します。
  4. ストレッチと筋力トレーニング
    • 大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチで柔軟性を高め、膝への負担を減らす。
    • 医師や理学療法士の指導の下で筋力を鍛えるリハビリテーションが効果的です。
  5. 物理療法(理学療法):超音波治療や低周波治療が痛みの軽減や治癒促進に役立ちます。
  6. テーピングやサポーターの使用:膝を安定させるためにテーピングやサポーターを使うこともあります。

予防

  • 適切なウォームアップとクールダウンを行い、筋肉や腱を柔軟に保つ。
  • 適切なフォームで運動を行うことや、膝に負担をかけないトレーニングを心がける。
  • 筋力バランスを整えるトレーニングを行うことが、鵞足炎の予防に有効です。

鵞足炎は適切な治療とリハビリテーションで回復することが多いですが、痛みが長引く場合や悪化する場合は、専門の医師に相談することをお勧めします。