半月板損傷（はんげつばんそんしょう）とは
半月板損傷は、膝関節の内部にある軟骨組織「半月板」が損傷する状態を指します。半月板は、膝関節の大腿骨と脛骨の間に位置し、衝撃を吸収し、関節の安定性を保つ役割を果たしています。半月板は内側（内側半月板）と外側（外側半月板）の2つがあり、どちらか、または両方が損傷することがあります。
主な原因
- 外傷性損傷: スポーツや事故などで膝に強い力が加わった際に発生します。特に、膝のひねりや急な方向転換、ジャンプからの着地が原因になることが多いです。
- 退行性変化: 加齢により半月板が徐々に劣化し、日常的な動作で損傷しやすくなることがあります。
主な症状
- 膝の痛み: 特に膝の内側または外側に痛みを感じます。痛みは歩行時や階段の昇降時に強くなります。
- 関節の引っかかり感やロッキング: 半月板の一部が関節内で引っかかり、膝が完全に伸ばせなくなったり、動かしづらくなることがあります。
- 腫れや炎症: 損傷後、膝が腫れたり、関節液が溜まることがあります。
- 可動域の制限: 膝を曲げたり伸ばしたりする際に制限を感じることがあります。
治療法
半月板損傷の治療は、損傷の程度や症状、患者の年齢や活動レベルに応じて異なります。
- 保存療法
- 冷却療法（アイシング）: 炎症や腫れを軽減するために、患部を冷やすことが推奨されます。
- 圧迫と挙上: 圧迫包帯を巻き、患部を心臓より高く保つことで、腫れを軽減します。
- 薬物療法: 痛みや炎症を抑えるために、NSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）や鎮痛剤が処方されます。
- リハビリテーション: 筋力を維持し、膝関節の可動域を回復するための運動療法が行われます。筋力強化や柔軟性の向上が重視されます。
- 手術療法
- 関節鏡視下手術: 最も一般的な手術法で、関節鏡を用いて損傷した半月板を修復または部分的に切除します。関節鏡手術は低侵襲で、回復が早いのが特徴です。
- 半月板縫合術: 損傷した半月板を縫合して修復する手術です。特に若年者や損傷が小さい場合に効果的です。
- 半月板部分切除術: 縫合が不可能な損傷の場合、損傷部分を切除する手術が行われます。切除後は、膝の機能を最大限に回復させるためのリハビリが重要となります。
- 高位脛骨骨切り術: 脛骨の上部（脛骨高位）を切り、骨を再配置することで膝関節の荷重軸を矯正します。これにより、膝にかかる負荷を偏っていた部分から正常な部分に分散させ、損傷した半月板に負荷がかかりにくくします。半月板縫合術と併用される場合があります。
予後とリハビリテーション
半月板損傷の治療後は、リハビリテーションが非常に重要です。手術後や保存療法を受けた後は、膝の可動域を回復し、筋力を強化するための運動が推奨されます。リハビリを適切に行うことで、膝の機能を最大限に回復させ、再発を防ぐことが可能です。
また、予防のためには、適切な運動と筋力トレーニングで膝を強化し、無理な負荷をかけないことが大切です。特に、スポーツを行う際には、膝の保護と準備運動を十分に行うことが推奨されます。