変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)とは

変形性膝関節症(Osteoarthritis of the Knee)は、膝関節の軟骨が徐々に摩耗し、関節の変形や痛みを引き起こす慢性の関節疾患です。主に中高年層に多く見られ、加齢、過度な体重、遺伝的要因、過去の膝の外傷などがリスク因子とされています。

主な症状

  • 膝の痛み: 特に運動後や長時間の使用後に痛みが生じます。進行すると、安静時にも痛みが発生します。
  • 関節の硬さ: 朝起きたときや長時間座った後に、膝関節が硬く感じることがあります。
  • 関節の腫れ: 膝に炎症が起こり、腫れや熱感を伴うことがあります。
  • 可動域の制限: 膝を十分に曲げたり伸ばしたりするのが難しくなり、日常生活に支障をきたすことがあります。
  • 変形: 病気が進行すると、膝が外側や内側に曲がるようになり、脚の形が変わることがあります。

治療法

変形性膝関節症の治療は、病気の進行度や患者の症状、生活習慣に応じて選択されます。保存療法から手術療法まで、多岐にわたるアプローチが存在します。

  1. 保存療法
    • 薬物療法: 痛みや炎症を和らげるために、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)やアセトアミノフェンが使用されます。また、ヒアルロン酸やステロイドの関節内注射が行われることもあります。
    • リハビリテーション: 膝周囲の筋肉を強化するための運動療法が行われます。筋力を維持することで関節にかかる負担を軽減し、症状の進行を抑えることができます。
    • 生活習慣の改善: 体重管理や膝に負担をかけない生活習慣の見直しが重要です。特に過体重の場合、体重を減らすことで膝への負担が軽減され、症状が緩和されることがあります。
    • 物理療法: 温熱療法、冷却療法、電気刺激療法などが痛みの緩和に効果を発揮することがあります。
    • 装具の使用: 膝のサポーターやブレース、足底板などを使用して、膝の負担を軽減します。
  2. 手術療法
    • 関節鏡視下手術: 軽度の関節症や一部の損傷に対して、関節鏡を用いて損傷した軟骨や遊離体を取り除く手術が行われることがあります。
    • 骨切り術: 膝関節の変形を矯正するために、骨を切って再配置する手術です。特に若年者で変形が顕著な場合に行われます。
    • 人工膝関節置換術(TKA): 重度の変形性膝関節症で、保存療法が効果を示さない場合に行われます。損傷した関節を人工関節に置き換えることで、痛みを軽減し、膝の機能を回復させます。

予後とリハビリテーション

変形性膝関節症は慢性的な疾患ですが、早期に適切な治療を受けることで、症状の進行を抑え、生活の質を維持することが可能です。手術後も、リハビリテーションを通じて関節の機能を回復させることが重要です。

予防としては、膝に過度な負担をかけない生活習慣を心がけ、定期的な運動で膝周囲の筋肉を強化することが推奨されます。また、体重管理も膝関節への負担を軽減するために重要です。