特発性大腿骨頭壊死症(とくはつせいだいたいこっとうえししょう)とは
特発性大腿骨頭壊死症は、大腿骨の骨頭(股関節を形成する大腿骨の丸い部分)において、血流が不足することで骨組織が壊死(死んでしまう)する病気です。「特発性」とは原因が明確でないことを意味しますが、この病気は長期間のステロイド薬使用やアルコールの多飲がリスク因子として知られています。
主な症状
- 股関節の痛み: 最も一般的な症状で、歩行時や立ち上がる際に強く感じることが多いです。痛みは徐々に悪化し、進行すると安静時にも痛みが生じます。
- 可動域の制限: 病気が進行すると、股関節の動きが制限され、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 跛行(はこう): 痛みや可動域の制限により、歩き方が変わることがあります。
治療法
特発性大腿骨頭壊死症の治療法は、病気の進行度や患者の年齢、全体的な健康状態に依存します。以下は一般的な治療法です。
- 保存療法
- 安静・負荷の制限: 股関節にかかる負荷を減らすために、松葉杖の使用や、重い荷物を持たないようにするなどの対策が取られます。
- 薬物療法: 痛みを軽減するために、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や鎮痛剤が使用されます。骨を保護するための薬(ビスフォスフォネートなど)も使用されることがあります。
- リハビリテーション: 股関節の可動域を維持し、周囲の筋肉を強化するための運動療法が行われます。
- 手術療法
- 骨移植術: 壊死した部分を取り除き、健康な骨を移植する手術。
- 寛骨臼回転骨切り術: 壊死が大きく、股関節の負担を軽減するために骨を切って再配置する手術。
- 股関節置換術(人工関節置換術): 病気が進行し、股関節が破壊されてしまった場合には、人工関節に置き換える手術が行われます。
予後と生活習慣
特発性大腿骨頭壊死症は、早期に発見し適切な治療を受けることで、進行を抑えることが可能です。アルコール摂取を控え、ステロイド薬の使用を慎重に管理することが、発症予防に繋がる場合もあります。
また、症状が進行してしまった場合でも、リハビリテーションや手術によって生活の質を向上させることができます。股関節に過度な負担をかけないようにしながら、医師の指導のもと、適切な治療を継続することが重要です。