ヘバーデン結節(Heberden's nodes)は、指の末端関節(遠位指節間関節、DIP関節)に発生する骨の変形と結節を伴う関節症です。特に、40代以降の女性に多く見られ、関節リウマチや他の自己免疫疾患と異なり、変形性関節症の一種です。ヘバーデン結節は、遺伝的な要因が強く、家族内で同様の症状が見られることもあります。

ヘバーデン結節の概要

  • 症状: 指の末端関節に硬い結節(骨の突出)が生じ、痛みや腫れ、こわばりが見られます。痛みは進行とともに減少する場合がありますが、指の変形や運動制限が残ることがあります。皮膚のすぐ下に結節が触れるのが特徴で、関節の見た目も変形することがあります。
  • 原因: 主に加齢や遺伝的要因、指の長年の使用が原因と考えられています。軟骨がすり減り、関節の骨同士が直接接触することで痛みや変形が生じます。

治療法

ヘバーデン結節の治療は、主に症状を和らげ、指の機能を維持することを目的としています。完全に治すことは難しいですが、痛みを管理し、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。

  1. 保存療法(手術を行わない方法):
    • 安静と活動制限: 痛みが強い場合は、指にかかる負担を減らすために安静を保ち、無理な動作を避けます。
    • 消炎鎮痛剤(NSAIDs): 非ステロイド性抗炎症薬(例: ロキソニン、イブプロフェン)を内服または外用することで、痛みや炎症を軽減します。
    • 冷温療法: 炎症がひどい時は冷却療法(氷や冷却シートなど)が有効で、慢性的な痛みに対しては温熱療法(温かいタオルや温浴)が役立つことがあります。
    • サポーターやテーピング: 指の動きを制限し、痛みを和らげるために指用のサポーターやテーピングを使用することができます。
    • 注射療法: 痛みが強い場合、ステロイド注射を関節に行うことがありますが、頻繁な注射は避けるべきです。
  2. リハビリテーションと指の運動: 指の運動やリハビリは、関節の柔軟性を維持し、筋力を強化するのに役立ちます。物理療法士の指導のもとでエクササイズを行うことで、指の動きをサポートし、症状の進行を抑えることが期待されます。
  3. 手術療法: 保存療法で改善が見られず、痛みが日常生活に大きな支障をきたす場合には、手術が検討されます。
    • 関節形成術: 変形した骨や結節を取り除く手術で、関節の形を修復し、痛みを軽減します。
    • 関節固定術: 痛みのある関節を固定して動きを制限することで、痛みを和らげますが、固定された関節の動きは制限されます。

日常生活の対策

  • 指を保護する: 重いものを持つときなど、指に負担がかかる動作を避けたり、専用の補助具を使って負担を軽減することが推奨されます。
  • 温浴やマッサージ: 温かいお湯で指をほぐしたり、軽いマッサージを行うことで、こわばりや痛みを和らげることができます。

ヘバーデン結節は完治が難しいものの、早期の対策によって症状を管理し、生活の質を向上させることが可能です。