母指CM関節症(ぼしCMかんせつしょう)は、母指(親指)の付け根にあるCM関節(手根中手関節)に発生する関節症のことです。CM関節は、母指の動きを支える重要な関節であり、特に母指のつかむ、ねじるといった動作に関わります。この関節が加齢や使いすぎ、または外傷などによって摩耗し、軟骨がすり減ることで関節症が発症します。主に中年以降の女性に多く見られるのが特徴です。
母指CM関節症の概要
- 症状: 親指の付け根部分に痛みが生じ、特にものをつかむ、開けるといった動作時に痛みが強くなります。腫れやこわばりが見られることもあります。また、関節が変形し、親指の動きが制限されることがあります。
- 原因: 加齢による軟骨の摩耗が主な原因です。また、手の使いすぎや過去の外傷、関節リウマチなどがリスクを高める要因となります。
治療法
治療法は、症状の程度や生活への影響に応じて異なります。以下に、主な治療法を紹介します。
- 保存療法(手術を行わない方法):
- 安静と活動制限: 痛みが強い場合、母指の動きを減らし、関節にかかる負担を軽減することが重要です。
- サポーターやスプリント: 親指を固定するためのサポーターやスプリントを装着し、関節の動きを制限することで痛みを和らげることができます。
- 消炎鎮痛剤: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などを内服または外用することで、炎症と痛みを軽減します。
- 注射療法: 関節内にステロイド注射を行うことで、痛みと炎症を短期間で緩和することができます。
- リハビリテーション: 物理療法やエクササイズによって、関節の柔軟性や筋力を維持し、症状の進行を遅らせます。
- 手術療法: 保存療法で症状が改善しない場合、手術が検討されます。
- 関節形成術: 痛みの原因となる関節部分を取り除き、人工の軟骨や自家組織を使って関節の機能を修復します。
- 関節固定術: 重度の変形や関節の不安定性がある場合、関節を固定する手術が行われることがあります。固定によって痛みは軽減されますが、関節の動きが制限されます。
母指CM関節症は、日常生活に支障をきたすことがあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。