槌指(マレット指、突き指)は、指先を伸ばす腱が損傷し、指の最終関節(DIP関節)が曲がったまま伸ばせなくなる状態を指します。槌指は、突発的な外傷や負傷により、伸筋腱(指を伸ばす腱)が切れたり、骨に付着している部分が剥離したりすることで発生します。主にスポーツや日常生活の中で、指先に直接強い力が加わることで起こることが多いです。
主な症状
- 指の先端が曲がったまま伸ばせない(特に第1関節)
- 第2関節が腫れている
- 指の関節が変形したり、不自然な状態で固定される
原因
槌指は、突き指や衝撃を受けたときに指の先端が反対方向に強く曲げられた場合に発生します。これにより、指を伸ばすための腱が損傷するか、腱が付着している骨が剥離します。バスケットボールやバレーボールなど、ボールが指先に強く当たるスポーツでよく見られますが、日常生活の中での指の損傷も原因になります。
治療法
槌指の治療は、損傷の程度や患者の年齢、活動レベルによって異なります。一般的な治療法は以下の通りです。
- スプリント療法 最も一般的な治療方法で、指先を伸ばした状態に保つためのスプリント(固定具)を装着します。これにより、損傷した腱や骨が治癒するための安静を確保します。スプリントは通常、約1ヶ月装着します。
- スプリント装着期間中は、指を曲げることを避ける必要があり、日常生活において慎重な管理が必要です。
- スプリントがきちんと装着されていないと、治療効果が薄れるため、正しい方法での装着が重要です。
- 第2関節の腫れの症状で指の動きが問題ない場合はバディテーピング(隣の指と一緒にテーピングで固定)のみとする場合もあります。
- 物理療法(リハビリ) スプリント療法の後、指の可動域や筋力を回復させるために、リハビリを行うことが勧められます。専門家の指導のもと、適切なリハビリ運動を行うことで、指の機能を正常に戻すことができます。
- 手術 重度の槌指や、腱の断裂が大きい場合、または骨の剥離が伴う場合は、手術が必要になることがあります。手術では、断裂した腱を修復したり、剥離した骨を再固定することで、指の正常な形状と機能を回復させます。手術後には、リハビリが必要になることが多く、完全な回復には数か月かかる場合があります。
- 保存療法 腱の損傷が軽度であれば、スプリント療法やリハビリで治療が可能です。ただし、槌指を放置すると、関節が永久的に変形する可能性があるため、早期の治療が重要です。
予後
槌指は、適切な治療を受ければ多くの場合は回復が期待できますが、完全に元の状態に戻るには時間がかかることがあります。特にスプリント療法が成功すれば、痛みも少なく、指の形状も回復します。しかし、指の機能や外見が完全には元に戻らない場合もあり、軽度の変形が残ることもあります。
予防
槌指の予防は難しいですが、スポーツや日常生活での指先への過度な衝撃を避けることが基本です。特に、スポーツ活動中には指を守るためのサポーターやテーピングを使用することが有効です。
槌指の症状が現れた場合は、早期に適切な治療を受けることが、指の機能を回復させるための重要なポイントとなります。