ガングリオンは、関節や腱の周囲にできる良性の腫瘍状の袋で、中にはゼリー状の液体が詰まっています。この液体は関節液と似た性質を持ち、透明で粘り気があります。ガングリオンは主に手首や足首、指の関節周りなど、関節や腱の付近にできることが多いです。大きさは数ミリから数センチまでさまざまで、圧迫すると硬く感じることもありますが、柔らかい場合もあります。
主な症状
- 関節や腱周囲にコブのような腫れができる
- 腫れに伴い痛みや違和感を感じることがある(特にガングリオンが神経を圧迫するとき)
- ガングリオンの位置によっては、動かすときに痛みや不快感が生じることがある
- ガングリオン自体は良性で、癌になることはありません
ただし、痛みがない場合も多く、そのため治療せずに経過観察されることも一般的です。
ガングリオンの原因
ガングリオンの正確な原因ははっきりとはわかっていませんが、関節や腱鞘への繰り返しの負担や炎症が関与していると考えられています。例えば、手首や指を頻繁に使う作業や、怪我によって関節に負担がかかることでガングリオンが発生することがあります。
治療法
ガングリオンの治療は、症状の有無や程度に応じてさまざまな方法が取られます。以下が一般的な治療法です。
- 経過観察
ガングリオンが痛みを伴わず、日常生活に影響を与えない場合は、特に治療せずにそのまま経過を観察することがあります。ガングリオンは自然に縮小したり、消失したりすることもあります。 - 穿刺吸引法
ガングリオンが痛みを伴う場合や大きくなりすぎた場合、針を用いて中の液体を吸引する治療法があります。この方法は比較的簡単で、外来で行うことができます。ただし、再発することが多く、完全に治癒するとは限りません。 - ステロイド注射
液体の吸引後、炎症を抑えるためにステロイド薬を注射することもあります。これにより、再発を防ぐ効果が期待できますが、完全な予防にはならない場合があります。 - 手術
再発を繰り返したり、強い痛みや運動障害を伴う場合は、ガングリオンを外科的に切除する手術が検討されます。手術は比較的安全ですが、まれに再発することもあります。手術後の回復には数週間かかることが一般的です。
ガングリオンの予防
ガングリオン自体を完全に予防する方法は明確ではありませんが、以下のことが効果的と考えられています。
- 関節や腱に過度な負担をかけないようにする
- 繰り返しの動作を行う際は適度な休憩をとり、ストレッチを行う
- 手首や指の関節を過度に酷使しない
ガングリオンができた場合、特に痛みがなく生活に支障がなければ、無理に治療する必要はありませんが、気になる場合は専門医の診察を受けることが推奨されます。