ばね指(弾発指)は、手指を曲げたり伸ばしたりする際に、引っかかりや痛みが生じる症状を指します。ばね指の原因は、腱が指の骨に沿って滑らかに動かなくなり、炎症や腱鞘(腱を取り囲むトンネル状の組織)の狭窄が起こることで発生します。指を曲げる動作を繰り返すことで、腱が腫れたり、腱鞘が狭くなったりして引っかかりを感じるようになります。

主な症状

  • 指を動かすときに引っかかる感覚や痛み
  • 指を完全に伸ばすことができなくなる
  • 指を曲げた状態で固定され、伸ばすのに痛みを伴う
  • 指がカチッとした感覚で突然伸びる(この動きが「ばね」のように感じられることから「ばね指」と呼ばれます)

治療法

ばね指の治療は、症状の重さに応じて段階的に行われます。以下は一般的な治療方法です。

  1. 安静
    軽度のばね指の場合、手を安静にし、過度に指を使う動作を避けることが重要です。
  2. ストレッチやリハビリ
    指の腱を柔軟にするためのストレッチやリハビリ運動が推奨されることがあります。理学療法士の指導のもとで行うことが効果的です。
  3. 非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
    痛みや腫れを軽減するために、ロキソプロフェンなどの抗炎症薬が使用されることがあります。これにより、腱や腱鞘の炎症を抑えます。
  4. ステロイド注射
    炎症が強い場合には、患部にステロイド注射を行うことがあります。これにより腫れや痛みを緩和し、指の動きがスムーズになります。何度も注射を打つと腱断裂のリスクが上がるため一つの指に対して当院では最大4回までとしています。
  5. スプリント装具の使用
    指を固定するためのスプリント(装具)を使用し、腱を安静に保つことで炎症を抑える方法もあります。これにより、症状の進行を防ぎます。
  6. 手術
    重症の場合や、他の治療法が効果を示さない場合は、手術が検討されます。手術では、腱鞘を切開して腱の動きを改善します。これにより指の引っかかりや痛みを解消することができます。手術は通常、比較的短時間で行われ、回復も早いことが一般的です。

予防

ばね指を予防するためには、過度に指を酷使しないことが大切です。長時間の指を使った作業(タイピングや道具を握る作業など)を行う際は、適度な休憩を取り、指をリラックスさせることが推奨されます。また、ストレッチを日常的に行うことも有効です。

ばね指の症状を感じた場合、早めに医師の診察を受けることが、治療の効果を高める鍵となります。