肩関節脱臼は、肩の関節が通常の位置から外れる状態のことを指します。肩関節は非常に可動性が高い関節ですが、その分、脱臼のリスクも高いです。脱臼は、外的な衝撃や突然の強い力が加わった場合に発生しやすく、特にスポーツや事故などが原因となることが多いです。
肩関節脱臼の概要
- 前方脱臼: 肩関節脱臼の中で最も一般的なタイプです。腕が外側や後方に引っ張られると、肩の関節が前方に外れます。
- 後方脱臼: 稀ではありますが、肩が後方に押されたり、電気的ショックやけいれんなどによって発生することがあります。
- 下方脱臼: 非常に稀なタイプの脱臼で、肩が下方向に引っ張られることで発生します。
肩関節脱臼の症状
- 肩の激しい痛み
- 腕を動かすのが困難または不可能
- 肩の形が明らかに変わっている(通常の輪郭から外れている)
- 腫れやあざ
- 神経が圧迫されることによるしびれや筋力低下
治療法
- 徒手整復: 医師が脱臼した関節を元の位置に戻す処置です。麻酔や鎮痛剤を使用することもあります。整復が困難な場合は透視装置を用いてレントゲンを見ながら整復します。
- 固定: 整復後は、肩を安定させるために固定具(スリングやバンド)を使用します。固定期間は数週間程度が一般的で、その間は肩を動かさないように注意が必要です。
- リハビリテーション: 肩の筋力と柔軟性を回復するためにリハビリが重要です。初期段階では可動域をゆっくりと回復し、徐々に筋力をつけるエクササイズが行われます。
- 手術: 脱臼が再発しやすい場合や、靭帯や腱が損傷した場合には、手術が必要になることがあります。手術によって関節を安定させ、再発のリスクを軽減します。
- 予防: 一度脱臼した肩は再発しやすいため、筋力トレーニングや柔軟性の向上を図ることで予防します。特に肩の回旋筋(ローテーターカフ)の強化が重要です。
注意点
肩関節脱臼は、治療が遅れると将来的に不安定な状態になりやすく、再脱臼のリスクが高まります。痛みがひどい場合や脱臼が疑われる場合は、速やかに医師の診察を受けることが重要です。