クラウンデンス症候群とは?
クラウンデンス症候群は、頚椎の第二頚椎(軸椎)の上部にある歯突起(dens)の周囲にカルシウムの結晶が沈着することで生じる疾患です。このカルシウム沈着がX線やCTで歯突起を取り囲む「王冠(クラウン)」のように見えることから、この名前が付けられました。
主な症状
- 急性の首の痛み: 突然の激しい頚部痛が最も一般的な症状です。
- 首の可動域制限: 特に回旋運動(首を左右に振る動き)が困難になります。
- 発熱: 一部の患者では軽度の発熱が見られます。
- 炎症反応: 血液検査で炎症マーカー(CRPや赤血球沈降速度)の上昇が確認されることがあります。
原因
- カルシウムピロリン酸結晶の沈着: ピロリン酸カルシウムが歯突起周囲の軟部組織に沈着し、炎症を引き起こします。
- 高齢化: 主に高齢者に多く見られ、関節の変性や代謝異常が関与しています。
- 他の疾患との関連: 偽痛風や変形性関節症などの疾患と関連して発症することがあります。
診断
- 画像検査: X線、CT、MRIなどで歯突起周囲のカルシウム沈着を確認します。CTが特に有用で、クラウン状の石灰化が明確に映し出されます。
- 血液検査: 炎症の程度を確認するために行われます。また、他の疾患との鑑別のためにも重要です。
治療法
1. 薬物療法
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): 痛みと炎症を軽減するために使用されます。
- コルヒチン: 結晶誘発性の炎症を抑えるために効果的です。
- ステロイド薬: 症状が重い場合やNSAIDsで効果が不十分な場合に投与されます。
2. 安静と装具療法
- 頚椎カラーの装着: 首を安定させ、痛みを軽減します。
- 安静: 急性期には首の動きを最小限に抑えることが推奨されます。
3. 理学療法
- 温熱療法: 痛みと筋緊張を和らげるために用いられます。
- 軽いストレッチ: 症状が落ち着いてきたら、可動域を回復するために行います。
予後と生活上の注意
- 予後: 適切な治療により、数日から数週間で症状が改善することが多いです。
- 再発の可能性: 再発することもあるため、症状が再び現れた場合は早めに医師に相談してください。
まとめ
クラウンデンス症候群は、高齢者を中心に発症する首の痛みの原因の一つです。早期の診断と適切な治療によって、症状の改善が期待できます。首の激しい痛みや可動域の制限がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。