環軸椎回旋位固定(かんじくついかいせんいこてい)とは?
環軸椎回旋位固定(環軸椎亜脱臼とも呼ばれる)は、首の第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)が正常な位置関係を保てなくなり、回旋(ねじれ)したまま固定される状態です。環椎と軸椎は、首の動きを支える重要な関節であり、これが回旋した状態で動かなくなると、首の動きが制限され、痛みやその他の神経症状を引き起こします。
特に小児に多く見られる症状であり、外傷や炎症、感染、筋肉の痙攣などが原因となることがあります。
主な原因
- 外傷: 転倒やスポーツなどで首に外力が加わった場合、環軸椎に異常が発生することがあります。
- 感染症や炎症: 上気道感染(風邪や咽頭炎など)や耳鼻科疾患に伴う炎症が原因となることもあります。
- 筋肉の痙攣: 首の筋肉が異常に緊張して痙攣を起こすと、頚椎が不安定になり、回旋位で固定されることがあります。
- 先天的要因: 一部の先天性疾患(たとえば、環椎や軸椎の発育異常)でも、環軸椎の不安定性が発生することがあります。
主な症状
- 首の痛み: 急激な首の痛みが現れることが多いです。特に、首を回そうとしたときに強い痛みを感じます。
- 首の動きの制限: 回旋位に固定されるため、首を動かそうとしても動かすことができなくなります。首が横に傾き、頭の向きが固定される「斜頸(しゃけい)」の状態になることもあります。
- 神経症状: まれに、神経圧迫によって手足にしびれや筋力低下などの神経症状が現れることもあります。
治療法
環軸椎回旋位固定の治療は以下の通りです。
1. 保存療法
軽症例では、頚椎カラーによる頚部の安静が有効です。
- 安静と装具療法: 首の安静を保つために、頚椎カラーなどの装具で固定することが一般的です。これにより、自然な位置への矯正と痛みの緩和を図ります。
- 投薬治療: 痛みや炎症を和らげるために、鎮痛剤が処方されることがあります。また、筋肉の痙攣が原因の場合は筋弛緩薬も使用されることがあります。
2. 入院治療
保存療法で症状が改善しない場合は、入院治療が必要となることがあります。
- 牽引療法: 専用の機械を使って長時間牽引します。
予後と生活上の注意
軽症であれば頸椎カラーの固定で改善することが多いです。1週間以上改善がない場合は入院できる医療機関へご紹介します。
- 早期治療が重要: 環軸椎回旋位固定は、早期に治療することで回復が期待できます。痛みや首の動きの制限が現れた場合は、早めに医師に相談することが重要です。